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馬刺しの文化― 日本と世界の食べ方

馬は、古代にモンゴルから日本へ伝わったとされ、その後地域ごとに異なる食文化が育まれてきました。現在では「馬刺し」として全国的に親しまれるようになっています。ここでは、日本で馬肉文化が根付いている4つの地域と、世界の事情をご紹介します。

馬刺しの写真

■ 日本における馬肉文化

  • 熊本県
  • 日本最大の馬肉産地で、消費量も全国トップ。伝承によると約400年前、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に肥後藩主・加藤清正が兵糧不足から馬肉を口にしたことが始まりとされます。食料に恵まれない土地柄もあり、熊本で馬肉文化が根付いたといわれています。現在の熊本の馬は「重種馬」と呼ばれる大型種で、脂はあっさり、霜降り牛のような食感が楽しめます。甘口醤油+おろし生姜が定番の食べ方です。

  • 福島県(会津地方)
  • 生産量は熊本に次ぐ第2位。競走馬系の「軽種馬」を活用した赤身主体の馬刺し文化が広まっています。食べ方は「辛味噌」を醤油に溶いていただくのが会津流。エピソードとしては、1955年にプロレスラー力道山が会津で「生で食べたい」と注文し、辛味噌と合わせたのが始まりともいわれています。

  • 長野県
  • 生産量は全国5位ですが、古くから農耕馬を役目を終えた後に食す習慣がありました。その後、県外からの馬肉流通を担った行商人「ばくろう」により、文化がさらに広まったといわれます。郷土料理「おたぐり」(馬の腸を味噌や醤油で煮込んだ料理)も今も親しまれています。

  • 青森県
  • 馬肉文化は戦後に広まりましたが、ルーツは鎌倉時代にさかのぼります。南部氏が牧場を開き、軍馬の育成も行われ、その流れが続いています。現在も八戸を中心に馬肉が親しまれています。

■ 世界の馬肉事情

国際連合食糧農業機関(FAO)の2017年データによると、馬肉の生産量ランキングは以下の通りで
1位:中国(199,089t)
2位:カザフスタン(117,459t)
3位:メキシコ(83,778t)
4位:ロシア(52,422t)
5位:モンゴル(41,787t)

上位3か国はほぼ固定で、日本はカナダなどからの輸入に依存しています。

■ 世界の馬肉事情

中国:東北部の一部で食文化が残り、他は加工や輸出用が中心。
フランス:一般的な食肉として流通し、比較的安価。
イギリス:馬をペットとみなす文化が強く、食用文化は限定的。

まとめ

海外でも馬肉は食べられていますが、日本のように「生食」として親しまれる例は稀です。徹底した衛生管理が整った日本だからこそ、安心して楽しめる特別な文化といえるでしょう。